みそかす日記

映画とか本とか美術館とか飲み屋とか。日々のけだるげな記録

お酒映画ベストテンー!

お酒映画ベストテン@ワッシュさんに参加します。

お酒映画ベストテン - 男の魂に火をつけろ!

楽しそう。

なぜなら私はお酒が大好き…なんだけど、いろいろ考え合わせると本当はやめたほうがいいと思うことが多い。でも飲んでいる。

で、どんな映画があるかな、と思ったのですが、意外に思い浮かびませんでした。

白黒映画で、女性がドライシェリーをオーダーするのがあって、それがいちばん印象的なんですけど、タイトルもわからないし全部見たのかどうかもわからない。

カサブランカかなと思ったのですが、カサブランカシャンパンカクテルなんですよね。

とにかくあれを見て、シェリーに興味を持ちました。罪な映画。

 

6本だけど、順不同で挙げてみます。

酔拳〈1978年、ユエン・ウーピン監督〉(あれはなんのお酒だろう。どぶろくみたいなの?)

・ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う〈2013年、エドガー・ライト監督〉(しばらくビール飲みたくなくなる)

ゴーン・ガール〈2014年、デヴィッド・フィンチャー監督〉(冒頭、ぷよぷよベン・アフレックが真っ昼間からバーでウイスキー?を飲む。一目でわかるダメ夫ぶり。バーがThe Barってまたすごいシンプルな店の名前)

・ムーンライト〈2016年、バリー・ジェンキンス監督〉(大人になった主人公(ムキムキの兄ちゃん)が、好きな人が開けてくれたからお酒飲めないのにワインを一気飲みする)

パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち〈2003年、ゴア・ヴァービンスキー監督〉(1作目。ラムじゃラムじゃー!)

キングスマン〈2014年、マシュー・ヴォーン〉(スコッチ、ワイン、ブランデー、それにマティーニ。あと、いかにもハリーの立ち入らなさそうなパブのシーン好き)

ここまで。

 

あとは、ウルフ・オブ・ウォールストリートもこちらが吐きそうな飲みっぷりだったと思うけど…。ディカプリオさんがふらふらになって運転してたのは、薬のせいだったような。

そういえば、酔いがさめたら、うちに帰ろうっていうのを見ました。映画としてはぴんとこなかったけど、アルコール依存症こわかった。

これは映画じゃないけど、コロンボの「別れのワイン」。

シャーロックの、ジョンの結婚前のエピソード(シーズン3のエピソード2かな)。シリンダーでビール飲むとこ笑える。

 

 

 

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映画 シェイプ・オブ・ウォーター

■雑な紹介

イライザと半魚人の恋路をマッチョのおっさんが邪魔する話。
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:サリー・ホーキンスマイケル・シャノンリチャード・ジェンキンスダグ・ジョーンズ
サイト:http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/
2017年度アカデミー賞 作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞

 パンフレットもゲットしました。

■感想

私は好きです。

アカデミー賞を取った割には、お客さんは入っていないようにも思いましたが、そもそも万人受けする作品ではない気がします。
映画が終わったとき、「怖かった」とか「泣けなかった」という女性たちの声が聞こえてきました。

うん、怖いと思う。
デル・トロさんの映画を何本か見ているから、怖さも痛さもマシなほうだとわかりますが、『美女と野獣』みたいなロマンチック・ラブ・ストーリーなんて思って見に行ったら、それはがっかりすると思います、はい。
いや、すごいロマンチックなラブストーリーではあるんですけど、エログロはあるし(まさか半魚人と結ばれるシーンがあるとは思わなかった笑)、なんせやっぱりモンスターなんで。

どこかで、子どもから大人まで楽しめる……なんてアオリを読みましたけど、やっぱりどう考えても大人向けだと思う。子どもが見たらトラウマになるんじゃないか……?

あと、泣かせようとしている映画ではないです。お涙頂戴的な「はい、ここ!」というふうに泣かせる場面はないです。(私はしっかり泣きましたけどね。ただ涙腺が緩いだけという気もする)
どのシーンが心に響くかは人それぞれだと思います。
私は、イライザがジャイルズに向かって激しく意思を伝えるところがぐっときました。
イライザは喋れないので手話を使います。イライザ役のサリー・ホーキンスは60年代の手話を覚えたそうです。


■ストーリーは超シンプル

ホラーとかサスペンス的な空気もありますが、やっぱりラブストーリー(恋愛を中心に、もう少しいろいろ含んだラブですね)。

おとぎ話のようなフレームに入っていて、なんかちょっとあれ?というようなところ(セキュリティさすがにユルすぎるのでは…とか)も、別にいいような気がしてくる。そこは語らなくても良いという判断だったのでしょう。
また、恋に落ちる過程などははっきり描かれていませんが、イライザは「彼」を見て、ちっとも怖がらず、興味を持っています。もっとあとの場面でジャイルズが「彼」のことを「美しい」と表現しています。彼らはあの存在を美しいと思う側の人々なんですね。

おとぎ話の男女は少しずつ近づいたりはしないですよね。
だいたいは美男美女だから、お互い一目惚れでもなんとなく説得力があるようなかんじで「そんなもんかな」と思いますが、今回は美男美女ではないけれど起きたことは同じなのでしょう。
そもそも、恋に落ちるって説明できないことだし。
でも、イライザが恋をしているんだ、というのは本当に優しく丁寧に描いてあります。

恋ってステキ!って。


■「彼」はイケメンなのか

「彼」は、やっぱり「美男」の枠からは大きく外れていますし(人間じゃないし)、どういう存在なのか結局よくわからない。監督が語っているとおりですが、ヒロインがキスをしたら「美男」に変わるってこともありません。(ちょっと反れますが、「彼」がキスをしたらイライザがトラウマを克服して喋れるようになったり、もしない。必要ないのね)
どんどんイケメンに見えてくる、なんて感想もありましたけど、私はそんなことはなかったなぁ笑。最初の、目(まばたき?)がすごかった。エラが逆立つところとか。きっと、すごいぬめぬめしてるんだと思う。ジャイルズが手を拭いてたから笑
でも、最後、雨の中ですっと立ち上がって、ただ立っている姿がとても綺麗だった。あの、背中から首にかけてのラインが。

演じているダグ・ジョーンズさんによると、めっちゃ動くの厳しいスーツなんだそうです(パンフレットより)。


■マイノリティの描写

ものすごい露骨というわけでもないんですよ。ポリコレポリコレって言うけれど。
あ、そうか、気づいたらそこにいたんだろうな、というような。
でも、本人たちはものすごい差別を受けている。

お掃除係の女性に対するストリックランドの態度というのがもう高圧的で、あからさまに見下している。
ゼルダのことをわざわざデリラと呼んだり、神様の姿は(黒人のゼルダより)自分に似ていると言ったり、イライザにはセクハラするし、美人の奥さんとのベッドシーンも怖いし!
ストリックランドは、ものすごい怖い嫌なおっさんで、『パンズ・ラビリンス』の義父と同じ役割ですね。
残酷で暴力的で差別的で親戚にも親戚外にもいてほしくない人ですが、自分も、より上の権力からいつ疎外されるのではないかと恐怖を抱いている。

トイレの前と後のどちらで手を洗うかで男の価値なんて決まらないって!
「成功した人にふさわしい車です」なんておだてられてティール色の新車を買ったり(後に大破)、「あるべき男」論がなんかかわいそうな感じもしてくるほどではありました。嫌な奴だけどね。

ジャイルズが片思いするカフェの店員(たしかにパイはものすごく不味そう)は、ジャイルズの行動や黒人のお客に対してとてもひどいことを言う。
でも、当時はそれが「普通」だったんですよね。

ジャイルズは、ものすごくはっきりとゲイだってテンプレ的に描かれているわけではないです。いや、ある場面でゲイだってわかるんですけど、そこまではそれを明確に示すものはほとんどない(まぁ、カフェについてのイライザとの会話や、冷蔵庫がパイだらけの理由を考えればわかりますが。英語で聞いている人にはもっとよくわかるのかな?)。
で、イケメン店員に「うちは健全な店だからもう来るな」と言われて、二重にがっかりして家に帰ってくる。
この生きづらさ。

あと、ソヴィエト連邦ね!
博士の名前覚えにくいよ。ボブね。本名はディミトリ。
この人はこの人で「彼」に恋していて、好きすぎて人殺しちゃうからね。けっこうヤバい人ですよね。
アメリカとソ連は冷戦中で、宇宙開発で競い合っているわけです。無酸素の環境でも生きられるらしい「彼」の秘密を手に入れたいわけですね。(このへんはちょっとわかりにくかった……かな)

もとい、こういう「時代」を、1960年代のアメリカをまったく知らない私にも、ほぼ言葉の説明無しでわからせてくれるのがまぁえらいと思うわけです。

で、今ではもう想像もつかないなぁ…と思うかというとそうではなくて、今もそうなんだよなと暗い気持ちになる。


アカデミー賞を取ったこと

とても綺麗な映画ですばらしいと思いますが、これ本当によくアカデミー賞取ったなと思う。
だって、デル・トロ監督が好きなものだらけで、ふつうに考えたら到底万人受けする設定でも絵面でもない。ストーリーはシンプルとはいえ、よく見ていないと気づかないようなところがたくさんあるみたいだし(←あとでレビュー等読んでいると、いろいろ見逃したことが判明した)、なかなかマニアックな作品だと思うんですけど。でも、見ている人を置いていったりはしないですね。
この監督は、自分の作りたいものがはっきりあるけれど、一方でお金がない(売れない)と次の作品が作れない、ということもよく知っているんだろうと思います。

「彼」が卵をしゃって取っていくところ、イライザが指のサインで「くたばれ」と言うところ、新車のキャデラックが大破してなんともいえないストリックランドの表情。ジャイルズが冷蔵庫を開けたらパイだらけのシーン、髪の毛が生えたって喜んでいるところ、それぞれ愛しい。ゼルダが「一見ついてなくても男は油断がならない」と言うあたりの一連の会話も大好き(笑)
ラストシーンの、靴が脱げるところとか。……最高。もういらないもんね。
そういえば、パシフィック・リムでも赤い靴が出てきたけど。

なんかこういう、この監督が撮りたいものって一貫性があるみたいで、色に意味をもたせるのもかなり意識的に行っているみたいです。こういうのを見つけるのも楽しいですね。


二人のラブストーリーとしてはハッピーエンドなんだと思うけれど、『パンズ・ラビリンス』でもそうでしたが、この世では成就しないんですよね。この世では成就し得ないぐらい、完璧な世界なんだと思う。
それはきっととても美しいことなのですが、ちょっと切なくもなってしまうのが凡人の性なんですかね。

でも、なんていうか、とてもきれいな作品ですよ。

ぜひ見てほしいけど、すすめるのが怖い。すすめて「これ無理」とか言われたら、その人と今後仲良くできるかどうかちょっと自信ない。

映画 デヴィッド・リンチ:アートライフ

映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』公式サイト

リンチ監督はずーっと煙草吸ってた。

小さいとき暗闇の中から裸の女の人が現れたとか、マリファナ吸って運転してたら高速道路の真ん中に止まってたとかって、ふつうにホラーだった。

若いときに描いた絵がけっこう怖い。

現在の創作風景は、作ってるものはなかなか気味が悪いんだけど、楽しそうだった。

もうちょっと映画作品の話が聞けるのかなぁと思っていましたが、リンチ監督の来し方と創作全般のお話でした。たくさん本人の話が聞けます。インタビューではない、ぽつぽつと思出話のような。とても穏やかな話し方です。

イレイザー・ヘッドはとても自由で楽しかったんだって。お父さんと弟に映画なんかやめて働けって言われて泣いちゃったらしいです。まぁ、なんというか…さもありなんではありますが、それでも続けて作ってくれて良かったなぁと思います。

というよりも、作らずにいられないんでしょうね。

かなり静かな映画(音が、というより静的)で、映画のことは全体の分量からしたらちょっとなので、リンチ先生本人が大好き!でないと若干眠いかも…。

ちなみに、京都シネマのTシャツは終了していた。ちぇっ。

そんなに殺到したんだろうか。あるいはめっちゃ数量限定だったのか。ぐぬぬ

 

 

このたたずまい。

ラブクラフトに出てきそう。

映画 「ロスト・ハイウェイ」「マルホランド・ドライブ」

 ロスト・ハイウェイマルホランド・ドライブをみました。

いずれもデヴィッド・リンチ監督作品。

ロスト・ハイウェイ デイヴィッド・リンチ リストア版 [Blu-ray]

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暗闇のハイウェイが怖くて…運転絶対無理。

 

 ナオミ・ワッツです。

最初の希望に満ち溢れたベティーが…💧

 

なんというか、こういうかんじでした。(特にロスト・ハイウェイ

Study after Velázquez's Portrait of Pope Innocent X - Wikipedia

 

映画の解説をしているサイトやブログがあって、わー、すごい、そういうことかー!と思うわけですが、最初はわけわからんままこの世界に放り込まれてみるのも良いと思います。

どちらも、イレイザー・ヘッドほど絵的には気持ち悪くないです。

私はマルホランド・ドライブのほうがちょっとはわかりやすかった気がします。

ロスト・ハイウェイのI'm derangedが耳に残って…デヴィッド・ボウイの曲です。

I'm Deranged

I'm Deranged

  • provided courtesy of iTunes

 

映画 イレイザーヘッド

イレイザーヘッド」を見てきました。

デヴィッド・リンチ監督。
1977年の作品。

 

■めちゃめちゃ雑なあらすじ
印刷工のヘンリーは、恋人メアリー(の母親)からメアリーが出産したことを聞かされ、結婚する(したんだと思う)。
メアリーは赤ちゃん(らしきもの)を連れてヘンリーの部屋にやってくるが、赤ちゃんの夜泣きに耐えられなくなり、メアリーはひとり実家に帰ってしまう。赤ちゃんと取り残されたヘンリー。
その後、夢なのか現実なのか、気色の悪いことばかり起こってなんかよくわからんことになる。


■感想
時折、映画館で映画を見ていて早く終わってほしいと思うときがあります。
退屈、あまりにも怖い、トイレに行きたい、次の用事があるのに思いのほか映画が長い……。

今回は、なんかおかしくなりそうなので早く終わってほしいと思った。

怖いのとは少し違う。
しかしもう、悪夢を延々と見ているようなシュールというか気持ちの悪い映像、映画に満ちている頭おかしくなりそうなノイズ。
「早く終わってほしかった」というのは褒め言葉。

そう、これはデヴィット・リンチ作品。


ちょこちょこ検索してみて、親(父)になる不安を表した作品という紹介が多く見られ、なるほどなぁと思いました。
しかし、あんまりいろいろ考えなくてもかなり不安な気分になれます。

黒作品ですが、明るい白い部分はほとんどありません。灰色と黒。
気持ち悪いけれどシュールさというかどことなく滑稽なところもあって、でもここで笑うのは不謹慎なのかとか、変な気持ちに。
もげた頭が本当にイレイザーヘッド(鉛筆の頭についてる消しゴム)になっちゃうとか、なんじゃそりゃって。

これ、ヘンリーの主観(一部違うところもありますが)の映像だというのは、そうだと思います。
同じものを見ていても、人によって捉え方は違うわけですね。何なのかまったくわからない「赤ちゃん」も、ほかの人が見れば普通の赤ちゃんなのかもしれません。
ヘンリーの主観(普通の人とはだいぶ違う)を説明なく見せられている、というのか。
だから多分、理解はできないんだと思います。


■気持ち悪いので、苦手な方はお気をつけて
ぴくぴく脚が動いてナイフを入れたら出血する(笑)チキンとか、赤ちゃんの濡れたかんじとか、相当気持ち悪い!
胎児(?)みたいなぬらぬらしたものがぼとっと落ちてくるだけでも、うげげげ、と。
部屋も気味が悪くて、机の上にいきなり土が盛ってあって木が生えてるの。
登場人物も不気味。特にメアリーのお母さん強烈。ラジエーターのほっぺおかしな女の子も……あれ、可愛いわけじゃないよね? 気持ち悪いよね?

そういうのが苦手な方はわざわざ見なくても良いと思います。


まさに怖いもの見たさで見ましたが、こういうものを映像にして作品として成り立たせてしまうというのがすごい。

 

イレイザーヘッド デイヴィッド・リンチ リストア版 [Blu-ray]

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私のアイドルではないけれど「アイドル」で思い浮かべたのは光GENJI

今週のお題「私のアイドル」

タイトルのとおりです。

「アイドル」が何か実はあんまり理解してないですが、基本的には歌手ですよね?

いわゆるアイドルというと、松田聖子とかですかね?

と今思ったのですが、アイドルという言葉から最初に思い浮かべたのは、光GENJIです。

女の子たちにやたらキャーキャー言われる人々。

という感じでしょうか。

小学生の頃。騒がれまくっていた光GENJIブームに私はまったくついていけませんでした。どのへんがかっこいいのか、まったく不明だった。若い頃からジャニーズのみなさんの区別がつかない。

今は、ようやくTOKIOより上ならわかると思う笑

光GENJIは、崩れゆきっぷりがすごいですね。こんな未来を予想したファンがいただろうか。

あんまり若い頃に売れすぎると、よほど本人も取り巻きもしっかりしていないとその後のキャリア形成は難しくなるのでしょうね。

今見ると、さすがに時代を感じます。ローラースケートですよ。

ただ、「ガラスの十代」は好きでした。

作ったのASKAだったりするんだよね。

 

ガラスの十代

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ガラスの十代 (アナログ7
 

えるぴーれこーどって!

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映画 ゴーギャン タヒチ、楽園への旅

gauguin-film.com

ポール・ゴーギャン - Wikipedia

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d3/PaulGauguinblackwhite.jpg/220px-PaulGauguinblackwhite.jpg

この人です。ヴァンサン・カッセルと似てるかな?

 

ゴーギャンが妻子を置いてパリを出てタヒチに趣き、現地の美少女テフラと出会って結婚し、彼女をミューズとしてたくさん絵を描くけれども、絵は売れず貧しいまま。病気は悪化し、フランスに送還されることになるまでのお話。

ゴーギャンヴァンサン・カッセル。すごく目が青い。ゴーギャンに似ている、らしい。
テフラ(タヒチの少女)はツィー・アダムス。

ものすごく寒い日だったので、タヒチの太陽を拝んでちょっとでも暖かい気分になりたいと思って見に行きましたが、思いのほか暗い映画でした。
良くも悪くも想像を超えるものはなかったかな。
予告編はとても興味深そうな上手な仕上がりですが、ストーリーの展開の順番とは入れ替わっているので注意が必要。

画家の苦悩とか狂気というのは、まぁ、そうかなと思います。
生きているうちに評価されなかった芸術家というのはたくさんいて、極貧のうちに亡くなった、なんてバイオグラフィーを読むと、本当に気の毒だと思ってしまう。彼ら・彼女らの中には「それでもいい、自分の道を行くんだ。他人の評価など何になるか」と満足していた人もいるのかもしれませんが、それでも厳しい生活はつらいよね……。

でも、ゴーギャンは「それでもいい派」ではなかったようです。売れないと生活できないから、売れてくれないと困る。描いてはフランスに送る。でもなかなか売れない。絵の具も足りなくなってくる。絵の具をチューブから必死で絞り出している様子は切ない。
筆を置いて肉体労働をしなければならない状況に追いやられて、その傍らで、自分が技術を教えたヨテファが作ったお土産用の量産品(といっても手作りですが)の彫刻がいい値段で売れていく。これにはガックリくる。こちらまで虚しい気持ちになる。

ただ、極貧のはずのわりには、引っ越し後、けっこういい感じの家に住んでるんですよね。物価安いんかな。
生活破綻者なのか、お金がなくてもそれなりに暮らせる土地なのか、なんかちょっとよくわからなかったりもした。

一方で、絵を描くんだと言って家族を捨ててタヒチに行ってしまうし、テフラちゃんをはじめ、タヒチの人たちを尊重しているような雰囲気もない。自分の父ちゃんだと嫌だな、というかんじの人です。
一応、現地の言葉は使っていましたが、お隣さんのヨテファにはめっちゃえらそうにしていて、結局あんなことになってしまって。
「文明化」(というか、西洋化かな)されていない自然をタヒチの人々に押し付けているわけですが、そのへんもちょっとほのめかされているだけで、特に深められてはいません。要するに植民地化された土地ですけど、そこに関する描写はほとんどなかったです。
なお、"sauvage"という言葉が「野蛮な」と訳されていて、たしかにほかに言いようはないのですが、原始の、とか、野生の、とかそういう意味に近いんだと思います。いわゆる「野蛮人」というマイナスの意味ではないと思います。

ゴーギャンの、芸術家として普通の人と違っているところ(おもに身勝手に見えてしまうところ、自由さ、頑なさ)、そのために美しく「真似できない(あるいは、したくない)」と思わせるような部分と、嫌で眉をひそめてしまうような部分とがあると思うのですが、うまくやろうとしてうまくいかない、その苦悩は現れていたと思います。
若い嫁に執着する意地悪なおじいちゃんみたいにも見えてしまうけれど、「もう、早く放してあげればいいのに」という気持ちと、そこはそれ、若いタヒチの女性の自由を抑えておくことはできない老い(というよりも、魅力、財力も含めた「力」のなさ)に苦しくなる。

(後で調べたところによると、ゴーギャンはこのとき40代半ばです。ヴァンサン・カッセルが疲れているせいか、けっこうなおじいちゃんに見えるんだけど。)

最後に、ゴーギャンはテフラとは二度と会うことはなかったって説明が出てくるんですけど、「まぁ、そりゃそうだろ」とは思いました(笑)
でも、最後の絵を描くシーンはとても良かったです。
じーんとした。生活には失敗はしてしまうけれども、彼女も「コケ」の絵はそれなりに好きだったのかな。もしかしたら、絵を描いているゴーギャンが好きだったのかもしれません。

後でWikipedia先生に尋ねてみたところ、ゴーギャンの現地妻は、なんと13歳とか14歳とかのティーンエージャーだったらしい。しかも、子どもまでもうけている、らしい。
映画のテフラは、たしかに少女ではありますが、ローティーンには見えません。
画家の女性の趣味が主眼ではないのだろうし、13歳の妻、という設定で映画を撮るのは昨今いろいろ難しいのかもしれませんが、ちょっと隠している感じがしました(後付の感想ですけど)。

タヒチって綺麗だなぁ……と思うようなカットは思ったより少なかったです。なんでこの風景であんなに鮮やかな絵を描いたんか?と思ってしまった。
森はすごかったし(馬が可愛い)、最後の、島を離れていく所はいいなぁと思いました。

ヴァンサン・カッセルの(疲れた)アップはたくさん見られます。
テフラ役のツィー・アダムスはとても綺麗な人です。

タヒチの生命力をもらえるかというと微妙かな(このへんがもう偏見なのかもしれないですけど)……と思うので、それなりに元気な時にご覧になることをおすすめします。寝ちゃうよ。

とはいえ、実はゴーギャンの絵はそんなにものすごい好き、というわけでもなかったのですが、これからはじっくり見てみたいと思いました。

そういう影響を与えてくれる映画はいいですよねと思います。