映画 彷徨える河
食欲減退度⭐⭐⭐⭐⭐
カラマカテのたたずまいだけでもう、見て良かったなと思いました。
モノクロだからきれいというところもあるのかもしれませんが、やっぱりカラーで見てみたかった。
ラストちあたり、ありがちなスピリチュアル系画像みたいな印象を受ける場面があって、そこだけちょっと浮いてました。
消えてゆく文化というか生活の記録であり生き方や考え方を理解する試みであり、ただ白人を批判するための作品ではなかったと思います。実際にヨーロッパから人が来ていろんなものを変えてしまったのだから、それは描かざるをえないわけだし。
カルト集団みたいのができたりしていたというのも、ショッキングだった。
カラマカテが何をしたのか、何を言っているのか、よくわからないところもいくつかありました。
彼らの生き方、考え方は、実際にジャングルに踏み入って彼らの中で生活してみないことには、到底理解などできないのでしょう。
それでも、この映画を見て、まったく違う世界に触れられた時間は貴重でした。
なお、にゅるにゅるの蛇の塊が出てきたり、どろどろしたもの飲んで吐いたり、なんか気色の悪いものぐちゃぐちゃしながら食べたりと、食欲減退効果が見込めます。ダイエットにもおすすめです。
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『シン・ゴジラ』みた
【映画パンフレット】 シン・ゴジラ SHIN GODZILLA 監督 庵野秀明 キャスト 長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ
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公式サイト
http://www.shin-godzilla.jp/sp/index.html
シン・ゴジラを見た。
予告を見た時点ではまったく見るつもりはなかったが、評判が良いというので。
ハリウッドの真似して失敗してても嫌だし、ゴジラがちっとも動かなくてがっかりするのも嫌だったが、そんな心配は無用でした。
面白かったです。
最初のゴジラが可愛くていろんな意味でどうしようかと思った。
が、そのうち、日本の特撮らしい、ちょっと懐かしい感じが嬉しくなってきた。
ゴジラの出番よりは、それに対する人間たちの動きの方が多いが、それも、大きな存在と小さくてちょこまかした存在、という対比になってよかった。
とにかく会議が多くて進まない、無責任で頼りない(ように見えてもがんばっている人もいる)政治の風景と、現場で黙々とやってる人々の風景と。絶対覚えられないのに、たいして重要な人でなくても名前が出てくる。ドキュメンタリー感が、低予算感をカバーしていたと思う。
いちばん良かったのは、熱核爆弾をなんとか回避しようとするくだり。
米国だと怪獣映画に限らず、すぐ使っちゃって毎回げんなりする。ここをきちんと取り上げて、トップと現場で切り抜けるところあたり、今の日本でやる意味があると思った。
政府内のあれやこれやや、都内で戦う自衛隊も見せてくれるし、ちゃんとそれらしかった。もし今ゴジラが来たら本当にこんなかんじなんじゃないだろうか、と思いました。
それにしても新幹線攻撃に在来線攻撃!ある意味感動した。
そして自衛隊に比して米軍の破壊力。よく描いたなと思う。
ほとんど人間パートなんだけど、人間パートに入ると途端に眠くなるハリウッドのゴジラ(エメリッヒじゃないほう)とは違って、応援したくなった。まあ、舞台が日本だからかもしれませんが。
とはいえゴジラもなかなか東京を派手に壊してくれて、ビルは倒壊するし火の海になる。
で、モロではないけれど人が亡くなったんだな…という描写があって、ちゃんと悼んでる。でもお涙頂戴的なものは一切ない。こういうのは良いですね。
俳優陣も絶妙。豪華だけれど派手ではない。
市川実日子は前から好きだけど、今回も良かった。
あと、高良健吾が脇で出てくると今のところハズレがないです。
巨大生物対策チームの個性的な面々の、キラキラ俳優感のないところがすごい良かった。
庵野監督ありがとう。
音楽とかちょっとエヴァっぽいところもあったけど。
というわけで、たいへん堪能しました。
『エヴェレスト 神々の山嶺』を見た。阿部寛の足が長かった。
※ちょっとネタバレあり。
どんな作品でも原作と映画は別物としてみるので、あれがないこれがない、こんなのは原作になかった…というようなことはあんまり気にならないタチです。
ただ、映画は「エヴェレストに登るってのがどういうことか」というのがちょっと弱かった気がする。
まぁ、エヴェレストが最高の山だ、ということで結局本質は「山」なんで、「山に登るのは、俺がいるから」っていう羽生(阿部寛)の、ほかに在りようがない狂ったかんじが見られればそれでだいたい満足だっただろうと思いますが、役者に頼りすぎ。
深町(岡田くん)に至っては、ぽっと来たカメラマンが最後にはあっさり(ではないですが結果からすると)登った、というふうに見えた(笑)
羽生が挑戦したのは南西壁で、その後、深町が一人で登ったのはノーマルルートですが、それにしてもねぇ。
本当は時間をかけて高所トレーニングをするんですよね。
役者は良かったです。
阿部さんのぎらぎらした、削ぎ落とされた感、良かったです。
岡田くんってアイドルですよね。あの男前をあれだけぶっさいくにする山って確かに怖い。
顔はむくむわ日焼けするわで迫力あった。
羽生はともかく、深町は演じにくかったと思うよ。だって何がしたいのかよくわからないんだもん。
しかし、山の映像や雪の映像で「怖い」「寒い」があんまり伝わってこないのは問題じゃないでしょうか。
「こんな所登れっこない」という絶望感とか、それでも登る羽生の凄さとか、もう少し出んもんでしょうか。
「さすが現地ロケだ」と思う部分ももちろんありましたが、あんまり怖くないというかお上品というか、巷の登山家の写真のほうが怖い。
ネパールの街の風景は良かったです。
もうひとつどうかなと思ったのは、動機がわかりづらいところ。
羽生がどうしてあれだけの執念を燃やして山に登るのか、それを深町が追いかける話だと思うのですが、そもそも深町が羽生に思い入れていく過程が駆け足なので、野心家のカメラマンがなんとなくついていって邪魔したようにも見えてしまう。彼を助けることで羽生も救われるんですけどね。
あとは、深町が「やまや(山家)」だった、という一回だけの台詞が聞き取りづらかったり、「おにすら」の説明がなかったり、ちょっと不親切。
冬のオニオンスライス……?! ではなく、「鬼スラ」で、スラブは岩壁のこと。鬼、はなんのことか忘れましたが、要するに登攀が難しいってことかと。
いくつか笑いそうになったポイントがあって、
・「冬季南西壁単独無酸素……!」
と突然羽生の狙いを見抜く深町。なんでや。
冬季、が何をさすのか説明はなく、どうして「無酸素」と思い至ったかもどういう意味かも説明はない。
「漢字を並べれば観客はなんかすげえ!って思うだろう」って思われているのか。
南西壁がどんなところのか、というのも、もうちょっと「これは人間には無理」っていう描写があれば良かったなぁと(映像はあるんですよ。垂直の高い岩壁が。でも、羽生は天才クライマーだから行けるのかな、みたいになる)。
・なんで写真燃やしてしもたん?
・ひどい目に逢って帰ってきた深町が飲んでるところに入ってきて、「山で死ねたら本望だよ~」とか最高のタイミングで笑いあう学生(笑)
何のためのシーンなのかよくわからないが、とりあえずどんだけご都合ですか。
・突然「あなたはどれだけの命を奪えば気が済むんですかー(うろ覚え)」と叫びだす岸涼子(尾野真千子)。
山に向かって言ってるんだと理解するまでに数秒を要しました。
山を敬語でののしるってシュール。
そのうえ、「ああ、この人は山は山としてあるだけだってわかっているんだけど、お兄さんを失くし恋人を失くし、どうしてもそう叫ばずにいられないぐらいつらいんだな」と慮らなければならない。
・なぜおまえはここまで来たのか、と羽生の亡霊に訊かれて、
深町「わからない!」
羽生「そうか……わからないか……」
誰にもわからないまま映画が終わる。
・「俺に憑りつけ!」
確かに体を背負っては帰れない。小説では本当に連れて帰ろうとして「何やってるんだ」と我に返るが、映画では難しかったのでしょう。
・最後の千鳥足。あれじゃ、あそこから尾野真千子までだって辿り着かないよ!
となかなか面白かったです。
羽生に向かって一生懸命叫ぶも高い所で声が出にくい感じとか良かったし、(これは現地でなくても撮れるでしょうが)強風でばたばたいっているテントの中で二人膝を抱えているシーンも良かった。アイスフォールの映像も「わーっ」てなったし、良いところもありました。
あれだけやってるのに、どうしてか「エヴェレストってやっぱりすごい」と圧倒的な自然を感じられなかったのは不思議です。
ともかく、役者は良かったです。
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原作は夢枕獏。
いつ幻獣が出てくるかとひやひやしていましたが、調査と経験に基づいた立派な山岳小説でした。
2月29日に生まれたからって年齢は4分の1にはならない。
レオナルド様、アカデミー主演男優賞受賞、おめでとうございます。
念願がかなってよかったです。
どうしても取りたくて取りたくて(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は「取りたい!」がにじみ出ていて若干つらかった)、でも「自分ではどうすることもできない」の境地に立たれましたが、ようやく報われました。
容姿の良さばかりもてはやされて、ちょっと太るとえらい叩かれようでしたが、前々から演技派だと思っていました。
本当によかったねぇ。
というわけで『レヴェナント』、見に行こうっと。
2月は
イット・フォローズ
クリムゾン・ピーク
ブラック・スキャンダル
を見ました。
『イット・フォローズ』の、いつのまにか映りこんでいる「それ」がなかなか怖かったですが、映画が終わった瞬間、近くの人が「進撃の巨人がいた」と笑っていたので、たいして背後にビビることなく帰途につくことができました。もったいない。
デル・トロさんは次のパシフィック・リムはプロデュースなのね。
そしてジョニー、悪くはないのですが……期待し過ぎなのかなぁ。